SANJI

東海エリア最大級

電話番号

結納って何?しきたりと縁起物の意味、時代の流れとともに

結納とは

「この人と結婚する!」そう決めて、いよいよ結婚式へと動き出したとき、最初にやって来る節目が「結納」です。結納は、他の国にはない日本ならではの伝統的な儀式でもあります。

そもそも結納って一体何なのでしょう。そしてどんな意味が込められているのでしょうか。
知っているようで実はよく分からない……そんなカップルのために、ここでは結納についてのしきたりや結納に込められた意味、そして時代の流れとともに変わりつつある結納の形についてご紹介します。

1.結納とは

自分たちが楽しくて幸せならそれだけで良かった恋人時代とは違い、結婚とは家と家が結び付く長いお付き合いのはじまりなのだと最初に実感するのが「結納」です。

両家の家族が一堂にそろう正式の場。
そこには、日本の伝統に基づいた背景があります。
まずは結納の基本的な知識を押さえておきましょう。

1-1.結納の歴史

結納は、結婚の約束をしたカップルが互いの意思確認のために行うものです。
『日本書紀』には、仁徳天皇の皇太子(後の履中天皇)が妃に迎えようとする女性(羽田矢代宿禰の娘である黒媛)に納采(のうさい)を行ったと記されていて、これが現在の結納の起源と言われています。
結婚に際して男性側から女性へ酒や肴などを贈り、両家が集まって共に飲食をすることで婚姻関係が成立しました。
「納采」が変化して「結納」という形が出来上がったのは、室町時代の武家社会からです。武家の婚礼制度として定着し、江戸時代には裕福な商屋などの間で広まっていきました。

一般家庭である庶民が結納を行うようになったのは明治時代以降のことです。
結納の品も男性側から女性へ一方的に贈るのではなく、女性側から男性へも贈るようになりました。どちらかというと女性への贈り物の方が値段も高く、贈られる順番も先なのは、古くから受け継がれた「納采」のしきたりの名残といえます。
(出典:『結婚の歴史』江馬務著、『日本の礼法』小笠原清信著)

1-2.結納の取り交わし方~関東と関西の違い~

正式な婚約は基本的に結納の際、結婚の日取りなどを決定することで成立とみなされます。ただし結納の取り交わし方は地方により異なっていて、特に関東と関西ではしきたりが違います。

関東では「結納を交わす」と表現するように、男性女性のそれぞれが同品目の結納品を用意し、男性が結納金(帯料)を、女性はその結納金の半額(袴料)を同日に交わします。
いっぽう関西では「結納を納める」と表現し、古来の方法と同じく男性側が結納品を贈り女性は後に袴料を男性に渡す、あるいはまったく渡さない場合もあります。

1-3.結納には2種類の形がある

結納は、大きく分けて正式結納と略式結納の2種類があります。どちらも「型」を重んじた儀式的要素が強く、若いカップルにとって堅苦しく感じてしまうものです。
しかし、これからの2人の幸せを願ってきちんと手順を踏むことにこそ意義がある、と考えるのが親心です。まずは結納の中身を具体的に理解することから始めましょう。

1-3-1.正式結納

正式結納とは一番格式の高い結納の形で、両家の間を取り持つ仲人が両家を行ったり来たりして結納品や受書(うけしょ)を交わします。
両家はそれぞれ仲人とは会いますが、互いの家に行くことはないため直接会うことはありません。
間に立ってお世話をしてくれる仲人には、お礼金として「酒肴料(しゅこうりょう)」を渡します。
両家の住まいが離れていると仲人の行き来の負担が大きくなるため、お互いの家の距離も考慮して決めた方が良さそうです。

1-3-2.略式結納

略式結納は、仲人を立てる形と仲人を立てない形に分かれます。
どちらの場合も両家が女性側の家を訪れるか、ホテルやレストラン、料亭などに両家が集まって結納品の受け渡しをします。

仲人を立てない場合は新郎側の父親が仲人役を務める場合が多く、最近では仲人なしのスタイルが主流です。

◆略式結納(仲人なし)の流れ

  1. 結納品を床の間または台座の上に置き、両家が着席する。
  2. 男性側から女性側へ結納品を渡す。
  3. 女性側が目録を確認し、男性側へ受書を渡す。
  4. 女性側から男性側へ結納品を渡す。
  5. 男性側が目録を確認して女性側へ受書を渡す。
  6. 婚約指輪や時計など、婚約記念品をお披露目する。
  7. 挨拶の後、祝宴がスタート。
    (出典:『都道府県別冠婚葬祭大辞典』主婦と生活社)

2.結納当日までにやっておくこと

結納は両家にとって結婚前の初めての大きなイベントです。
「一度きりの大切な儀式だけど、何から始めて良いか見当もつかない……」
そんな不安を解消するために、結納当日までにやっておくことを確認し、段取り良く準備を進めましょう。

2-1.場所を決める

結納は正式には女性側の自宅(実家)で行いますが、現在ではホテルや料亭、レストラン、結婚式場内に設けられた会場に両家が集まる場合もあります。まずはどこで結納を行うのか決めて、自宅以外の場所にするなら早めに予約を入れましょう。
予約の際は結納の式に使いたいことを伝え、結納品を飾る場合はそのスペースがあるのか、また飾るための準備はできるのか等を確認しておくと安心です。

ホテルや結婚式場では、結納品と食事がパックになった結納プランもあります。
内容を確認し、自分たちのイメージに合ったスタイルを見つけましょう。

2-2.結納品を準備する

結納品は両家のご縁を結ぶ大切な品として縁起物が決まっています。
また、品物や品数、並べ方などは地方によってしきたりが異なります。
男性側と女性側の自宅が遠いと、結納のしきたりが違うことも珍しくありません。どちらに合わせるかは両家で相談して決めることが大切です。

2-2-1.結納品にはそれぞれ意味が込められている

最近の簡略化された結納では縁起物は7品目が多いですが、本来は9品目並べます。
それぞれの縁起物には両家の幸せを願った大切な意味が込められています。

◆目録(もくろく)
目録は結納品の品目や数を記した一覧リストで、ビジネスで例えると納品書のようなものです。
それに対して、結納品を確かに受け取った証として「受書」があります。
これはビジネスで例えるなら領収書のようなものです。
現在では、贈る側が目録と一緒に準備することが多い受書ですが、用意がされていない場合は結納品をもらったときに作成する必要があります。

◆長熨斗(ながのし)
長熨斗は、もともと海産物の中でも特に貴重なアワビを叩いて薄く伸ばしたことから、「末永く」、「長寿」の願いが込められています。

◆金宝包(おたからつつみ、きんぽうつつみ)
結納金を包んだもので、男性側からは「御帯料(おんおびりょう)」、女性側からは「御袴料(おんはかまりょう)」と記して交換するのが一般的です。

◆末広(すえひろ)
一対の純白の扇子のことで「純白無垢」という意味と、その形から「末広がりに繁栄する」めでたさを表現しています。

◆友志良賀(ともしらが)
白い麻糸の束で、「お互いに白髪になるまで末永く仲睦まじく」という願いが込められています。また、麻糸は丈夫で切れにくいため、強い夫婦の絆とも掛けています。

◆子生婦(こんぶ)
「よろこぶ」の語呂合わせと、繁殖力の強い昆布にあやかって「子宝に恵まれるように」との2つの意味を表しています。

◆寿留女(するめ
するめイカの干物は堅実さを表しています。「花嫁が末永く嫁ぎ先に留まり、良い妻となりますように」との願いが込められています。

◆松魚節(かつおぶし)
鰹節のことで「勝男節」とも書きます。男性のたくましさを表し、元気な子供を授かるようにとの意味があります。

◆家内喜多留(やなぎたる)
本来は柳で作った酒樽を指し、福が多いことを願った祝い酒のことです。現在では「樽料」と記した現金を包んでいます。

2-2-2.なぜ結納品に水引がかけられているのか

水引は結婚式のご祝儀袋やお歳暮、お中元、法事など冠婚葬祭をはじめ日本のさまざまな行事に使われています。
結納品も紅白や金銀などの水引で華やかに結ばれていますが、これは単なる装飾ではありません。
水引はその昔、宮廷への献上品に麻のひもを結んでいたことから始まり、「未開封である」、「魔除け」の意味をもっています。
また、「和」を重んじた日本人ならではの考え方で「人と人を結びつける」、「ご縁を結ぶ」という願いも込められています。

結納品には欠かせない水引ですが、「何度も繰り返さない一度きりのもの」との考え方から、使う水引はご祝儀袋と同様に一度結んだらほどけない「結びきり」か「あわじ結び」とします。

2-2-3.結納金の目安として女性は男性の半分

結納金は「金宝包」と記された結納品のことで、相場はさまざまですが男性側と女性側では包む額が大きく異なります。
「半返し」といって女性側は男性側から受け取った金額の半分を包むことが一般的です。ただし関西では女性側からの「半返し」を行わないケースも多くあります。

2-2-4.婚約記念品は婚約指輪が圧倒的人気

婚約記念品に決まりはありませんが、一般的に男性から女性には指輪、女性から男性には時計などを選ぶことが多いです。女性に贈られる婚約記念品は圧倒的に婚約指輪が多く、ダイヤモンドや真珠、誕生石をあしらったものが好まれています。
一生に一度の記念として形に残るものを選ぶことが多い結婚記念品ですが、旅行や体験を通した2人だけのプライスレスな思い出にお金を注ぐパターンもあります。

3.衣装は両家の格をそろえることが大事

結納当日の衣装や服装では、両家の格をそろえることが何よりも大切です。一方が正装でもう一方が平服ではバランスが悪く、どちらも居心地の悪い思いをしてしまいます。
また、両家の夫婦間でも同格の装いとなるよう注意が必要です。
「相手のご家庭がどのような服装で来るのか分からない……」と心配なら、事前に服装について仲人か結婚する当人たちを通して簡単に打ち合わせをしておくと安心です。

それではここで、結納にふさわしい正装、準礼装、略礼装、略装(略服)を確認しておきましょう。
※ちなみに結納は一般的に日中に行われる場合が多いため、昼間のドレスコードから紹介しています。

3-1.正装

♦男性
<洋装>
モーニングコート:1つボタンで黒の共生地の上着とベスト、縞のズボン。シャツは白のダブルカラーやダブルカフス。ネクタイは白黒の縞かグレーの結び下げ。
<和装>
五つ紋付羽織・袴 黒の羽二重、染め抜き五つ紋付長着と羽織。仙台平の袴。

♦女性
<洋装>
アフタヌーンドレス:袖は長袖か7分袖で衿の詰まったドレス。ワンピースが正式。
<和装>
留袖(既婚者):黒留袖や色留袖。五つ紋付き。柄付けは腰よりも低い位置のみ。
振袖(未婚者):袖の長さにより大振袖や中振袖など。

3-2.準礼装

♦男性
<洋装>
ディレクターズスーツ:ジャケットは黒やダークグレー、濃紺の無地。
ズボンはグレート黒の縞。シャツは白のダブルカラーやダブルカフス。ネクタイはシルバーか縞。
<和装>
三つ紋付羽織・袴 黒の羽二重、染め抜き三つ紋付羽織。
色無地の五つ紋付羽織・袴 グレー、茄子紺などの色無地の五つ紋付羽織。
仙台平の袴。

♦女性
<洋装>
セミアフタヌーンドレス:正礼装のアフタヌーンドレスより気軽に着られるもの。ワンピース、アンサンブル、スーツなど。
<和装>
訪問着。色留袖の三つ紋や一つ紋。 既婚・未婚に関係なく着ることができる。

3-3. 略礼装

♦男性
<洋装>
ブラックスーツ :上着とズボンは黒。シャツは白。ネクタイはシルバー。
ダークスーツ:チャコールグレーかダークグレーの無地か無地に近い色。シャツは白。ネクタイはシルバー。
<和装>
三つ紋付羽織・袴 黒の羽二重、染め抜き三つ紋付羽織。
一つ紋付羽織・袴 お召し紬や江戸小紋ちりめんなどの一つ紋付き。

♦女性
<洋装>
インフォーマルドレス:ワンピース、ツーピース、アンサンブル、ツーピースなど。
<和装>
紋付色無地
紋付付下 既婚・未婚に関係なく着ることができる。
紋をつけることで格が上がり略礼装となる。

3-4.略装(略服)

♦男性
<洋装>
ダークスーツ:チャコールグレーかダークグレーの無地か無地に近い色。シャツは白。ネクタイはシルバー。
<和装>
黒に近い無地の紬など
※和服を選ぶケースは少ない。

♦女性
<洋装>
スーツやワンピース 肌の露出は控える。
<和装>
色無地や付下。 既婚・未婚に関係なく着ることができる。

3-5.ジュエリーはどうする?

結納などの正式な場でジュエリーを身に着けるときは、「時間帯」と「着ける人の年齢」を考慮する必要があります。昼間の席では、ダイヤモンドやルビー、サファイヤなど輝きが強い宝石はふさわしくありません。パールのような半透明のもので、品格ある装いを心がけます。
反対に、夜の席では宝石の輝きで華やかさを演出することもマナーの1つです。

なお、和装は着物そのものがあでやかなので、アクセサリーは控えめの方が粋です。

3-6.NGな服装

結納は両家がそろう正式の場です。華やかさよりも礼儀を大切にして、節度ある装いを心がけましょう。
当人同士や両親は当然のこと、一緒に参加する家族にも統一感が求められます。
特に肌の露出はNGです。肩の見えるオフショルダーやノースリーブ、ナマ足もふさわしくありません。自分では最先端のおしゃれをしたつもりでも、周りの人に不快感を与えてしまっては台無しです。
常に「清潔感」と「控えめ」を忘れないようにして、大切な儀式に臨んでください。

4.結納は時代とともに進む簡略化傾向にある

ここまででお分かりのように、結納は格式高い婚礼行事の1つであり、準備に時間もお金もかかります。そのため、現在では結納は簡略化がますます進んでいます。

4-1.略式結納をさらに簡略化

結納は正式結納が一番伝統的な形ですが、次第に手順を簡略化した略式結納が主流となり、その中でも仲人を立てないスタイルが時代とともに多くなってきています。
さらに、結納品も従来の9品目から7品目、または5品目と数を減らしたり、結納品自体を用意しなかったりするというケースもあります。

また、結納品の中でも結納金を省略して婚約指輪などの婚約記念品のみ交換したり、結納金や婚約記念品にかかるお金を新婚旅行や新婚生活に充てたり貯蓄に回したりする現実派カップルもいます。

4-2.最近は顔合わせ食事会も人気

最近は結納の代わりに両家の顔合わせを目的とした食事会を行うスタイルも人気です。
食事会といっても、結納品を交換したり婚約指輪をお披露目したりする結納に近い形のものから、本当に食事と会話を楽しむだけのものまでその内容はさまざまです。

儀式というよりは両家の親睦を深めることが目的となるため、和やかな雰囲気に包まれますが、カジュアルすぎると「結納の代わりとしての行事」という本筋からかけ離れてしまうため、お店選びや服装選びにも注意しましょう。

まとめ

結納は、結婚する2人にとって最初にやって来る大切な行事ですが、両家の縁を結ぶ1つの節目であることも忘れてはいけません。
2人の希望する結納のスタイルを見つけていくことが第一ですが、そもそもの結納の意味を理解し、両親ともきちんと相談して、両家が納得する形で準備を進めていきましょう。