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婚約指輪の流行の変遷

婚約指輪の流行の変遷

はじめに

愛する人から贈られる婚約指輪は、女性にとって憧れの存在であり、ふたりにとっても一生忘れられない大切な記念品になります。婚約指輪の由来を知ることで、指輪に込められた本当の意味や重みを感じられるはずです。結婚されるおふたりにぜひ知っていただきたいので、ご紹介していきます。

目次

1. 婚約指輪の由来

1-1 婚約指輪はローマ時代に誕生

婚約の時に指輪を贈る習慣は、古代ローマ時代であるという説が有力です。
指輪は婚約が成立したことを意味し、花嫁は未来の夫に対して純潔を守る義務が発生しました。これを破ってしまうと法的な責任を問われたそうです。
歴史資料によると、婚約指輪は鉄製であったと書かれています。古代ローマでは、何の飾りもない「鉄の輪」を婚約指輪として贈っていました。のちに鉄製の指輪は、金属の指輪へと移り変わっていきました。
宝石付きの指輪を贈るようになったのは、中世ヨーロッパ時代からです。その当時には、サファイアやルビーがよく使われていました。

1-2 ダイヤモンドの婚約指輪はいつから?

ダイヤモンドは、鉱物としては古くから知られていました。
明確にダイヤモンドについて書かれた最古の歴史資料では、ダイヤモンドは鉄などと同様に硬質な物質を表わす「アマダス」の一種に分類されています。「アマダス」とは、「征服されないもの」「無敵のもの」というギリシャ語であることが記述されており、この「アマダス」という言葉がダイヤモンドの語源だとされています。

ローマ時代には、ダイヤモンドは「宝石」という位置付けではなかったようです。
当時ダイヤモンドは、ルビーやエメラルドと比べると価値が格段に低く、「お守り」や「魔除け」として使われていました。当時のダイヤモンドの原産国はインドで、ダイヤモンドはカットされることなく正八面体の結晶のまま使われていました。

1456年、オランダのベルケムがダイヤモンドの研磨に成功してからは、ダイヤモンド付きの婚約指輪は裕福な王族貴族の間でのみ贈られるようになりました。
そして、1477年に神聖ローマ皇帝であるハプスブルク家のマクシミリアン一世(1459-1519)が、ブルゴーニュ公国シャルルの娘マリーにダイヤモンドの指輪を贈ってからは、ダイヤモンドの婚約指輪が愛と忠誠の「約束の証」となり、以後はダイヤモンドが婚約指輪に用いられるようになっていきました。
これが、史実に残る最初の婚約指輪とされています。

ちなみに、その時の婚約指輪のデザインは、金の指輪にダイヤモンドで「M」の形を描いたものだったと伝えられています。Mの形にした理由は、マクシミリアンとマリーのふたりのイニシャルから考えられたという説もあります。

一般の人々にダイヤモンドの婚約指輪が普及したのは、19世紀に入ってからのことです。
現在よく採用されている、プラチナリングにラウンドブリリアンカットのダイヤモンドをセッティングする手法が登場したのも、この頃だといわれています。

ダイヤモンドの婚約指輪が確立したのは比較的最近のことだと知り、筆者はとても驚きました。
今では「宝石の王様」と呼ばれるダイヤモンドも、カットもされず結晶のままなら宝石とさえ認めえてもらえなかったのです。ダイヤモンドの研磨に成功していなければ、輝くダイヤモンドの婚約指輪は生まれませんでした。現在、女性の憧れる神秘的なダイヤモンドの輝きを味わえるのは、研磨技術のおかげですね。

2.婚約指輪を贈る意味

婚約指輪とは、ふたりの婚約の証として男性から女性へ贈られる指輪のことです。
ここで、「婚約の証」を贈る意味について考えてみましょう。

2-1 なぜ婚約指輪を贈り、形として残すのか?

男性からのプロポーズは、言葉だけでも十分なのでしょうか?
そもそも婚約指輪を贈ることになった理由や意味についてご紹介していきます。

2-1-1 婚約指輪が証明するもの

「婚約」とは、ふたりが「結婚の約束をすること」を指しますが、そこには法的なルールはありません。
人生の大きな節目が口約束だけの状態では不安がありますよね。そこで、古くから多くの人々が「結婚の約束」の証明として婚約記念品を贈ってきました。その代表的なものが「婚約指輪」です。

2-1-2 ふたりの決意の象徴

婚約指輪があることで、ふたりが永遠の愛を誓い結婚するという意思表示を周囲の人々に明らかにすることができます。男性は、婚約指輪を贈ることで「一生彼女を守り続ける」という決意が明確になり、女性は婚約指輪を受け取ることで「一生彼を支え続ける」と決意します。ふたりでいることが当たり前の日常が訪れたとしても、婚約指輪がふたりの決意を思い出すきっかけになってくれるはずです。

2-1-3 ふたりの一生の財産

現在、婚約指輪とは、プラチナやゴールドなどの貴金属のリングに、メインの宝石としてダイヤモンドを留めたものを指すのが一般的です。
以前はそれが「ふたりの資産」になると考えられてきましたが、残念なことに実際に手放す時の買い取り価格は、購入した金額には遠く及びません。それではふたりにとって全く価値のないものかというと、決してそうではありません。
貴金属やダイヤモンドは不変で腐食をしないため、子供や孫に受け継いでいくことができます。
子孫に受け継ぎ身に着けていくことで家族の想いと歴史が刻みこまれ、金銭的な価値以上を持った「世界で1つだけの財産」になるのです。

2-2 なぜ婚約指輪にダイヤモンドを使うのか?

価値のある宝石がたくさん存在する中で、婚約指輪にダイヤモンドが選ばれる理由はなんでしょう?
そのワケについて考えてみました。

2-2-1 硬度と希少性

婚約指輪にダイヤモンドを選ぶのはなぜか?それはダイヤモンドが宝石の中で最も硬く、傷つきにくい素材で、なおかつ希少性が高いためです。ふたりの愛が永遠に続くようにという願いにぴったりの宝石ですよね。
ダイヤモンドはその硬さや性質ゆえに、ダイヤモンドを使ってしか加工ができないというのは有名な話です。
この硬さが、揺るぎない想いや絆を象徴するものとして世界中で愛されています。

また、天然の鉱物であるダイヤモンドは、手間をかけて採掘されてからも、宝石として磨き上げられて流通するまでには大変な手間とコストがかかります。多くの人々が時間をかけて美しく加工されたダイヤモンドは、大変貴重で希少性が高く大きな価値があるものなのです。
ダイヤモンドの石言葉には「純潔・清浄無垢・純愛・永遠の絆」があります。
この言葉通り、ダイヤモンドは時代を問わず、愛するふたりを永遠に結び付ける1番の宝石なのです。

2-2-2 女性は光るものが大好き!

女性は皆、「輝くもの・美しいもの」が大好きです。宝石は時を越えて、不思議な力と美しさで多くの人々を魅了してきました。その中でもダイヤモンドは「宝石の王様」と呼ばれ、女性の憧れの的。
ダイヤモンドが放つ輝きには言葉では表せないほどの魅力とパワーが秘められており、その美しさに釘付けになってしまうのです。
そんなダイヤモンドの婚約指輪を贈られることは、女性にとって「最高の夢」であり、憧れなのですね。

2-3 なぜ左の薬指に婚約指輪を着けるのか?

理由は分からないけれど「婚約指輪は左手の薬指に着けるもの」とご存じの方は多いですよね。
芸能人や有名人の婚約・結婚記者会見やドラマのプロポーズシーンでは、婚約指輪を左手の薬指に着けているのをよく見かけます。

元々の由来は、古代ギリシャ時代までさかのぼります。
古くからギリシャでは「薬指には最も太い血管が通っていて、それが心臓につながっている」と考えられていました。右手よりも左手の方が心臓により近いことから、左手の薬指に指輪を着けることで、自分や相手の心をつなぎとめ、「永遠の愛を誓う」役割を果たすと考えられていたそうです。
そんな古代の儀式が今の時代まで続いていることは、驚きでしかありません。
婚約指輪を左手の薬指に着けることは特に守らなければならないルールではありませんが、その由来を知ると、長い年月続けられた習慣や行為には、人々の深い想いが込められていることを知ることができます。

3.世界から見る婚約指輪のデザイン100年の歴史

婚約指輪はどの時代も女性にとって重要なファッションアイテムです。
婚約指輪というと、大きなダイヤモンドが1つ中央にあしらわれたプラチナの指輪を思い浮かべる方が多いと思いますが、実は年代によってデザインは変化しています。
1900年代~最近までの世界のデザインの変遷を追って見ていきましょう。

3-1 1910年代

ソリティア(一粒石)の婚約指輪。
6本爪の立て爪デザインで、現在でも見かける形です。
この当時は、リングの素材が金(ゴールド)のデザインが主流だったようです。

3-2 1920-1930年代

1920年代には、中央の大きなダイヤの周りを小さなダイヤで取り囲んだデザインが人気でした。
1930年代にはさらに豪華な細工を施したデザインがトレンドになっていきました。

3-3 1940-1950年代

この時代には、中央の宝石は以前よりさらに大きく、取り囲む小さなダイヤも数が多くなりました。
リングのアーム部分は太く凝った細工のものがオシャレとされていたようです。

3-4 1960-1970年代

1960年代に入ると豪華なデザインは時代遅れになり、シンプルなデザインが好まれるようになりました。

3-5 1970-1990年代

シンプルな婚約指輪のトレンドはそれほど長く続かず、1970年代にはまるでティアラのようなデザインが登場。
1980年代は丸いブリリアントカットのダイヤモンドが圧倒的に人気で、1990年代はスクエアカットのダイヤモンドの人気がじわじわと上昇しました。

3-6 2000-2010年代

2000年代には、さまざまなデザインが登場し多様性が生まれました。その代表的なものをご紹介します。

  • ストレートラインにソリティア(一粒石)の立て爪デザインの婚約指輪
  • 立て爪デザインのリング部分にもメレダイヤを並べたエタニティやパヴェタイプの婚約指輪
  • 中央のダイヤモンドをメレダイヤで取り囲んだ豪華な婚約指輪

……など、最近の海外ジュエリーブランドにもよく見られるデザインです。
2010年代には、プリンセスカットやエメラルドカット、オールドマインカットなどの、スクエア(四角)の婚約指輪が人気になりました。

3-7 現在

ストレートタイプのデザインが多く、中央の石はダイヤモンドが比較的多く使われています。
華やかでボリュームのあるタイプが人気のようです。

海外の場合、ファッションや高級バッグなどで世界的に知られるハイブランドが、婚約指輪などのブライダルジュエリーを作っているケースが多いのが現状です。デザインの種類も、各ブランド多くとも20種類程度というところがほとんどのようです。

世界的に知られていたり、有名なセレブリティたちが愛用していたりという点でステータスはありますが、価格もなかなかに高額のため、ハイブランドの婚約指輪は手の届かない「高嶺の花」とも言える存在です。

4.日本における普及の歴史

欧米では長い歴史を持つ婚約指輪ですが、日本で婚約指輪を贈る習慣ができたのはごく最近のことです。
ここでは日本における婚約指輪の普及の歴史についてご紹介していきます。

4-1 1960年代

この頃、婚約指輪は結納品の1つとして贈られるようになりましたが、そのうちダイヤモンドを使用した婚約指輪は全体の16%程度と少なく、当時は真珠や誕生石などの婚約指輪を贈ることが主流でした。
ダイヤモンドの婚約指輪が一般に少しずつ浸透していったのは、ダイヤモンドの輸入制限がなくなったことも影響があるようです。

4-2 1970年代

ダイヤモンドジュエリーを中心に展開している「デビアス社」が、キャンペーンCMで「ダイヤモンドの婚約指輪」のイメージを流したことがきっかけで、多くの男性がダイヤモンドを婚約指輪として選ぶようになったといわれています。その時のキャッチフレーズは「A Diamond is forever」“ダイヤモンドは永遠の輝き”というものでした。このキャッチコピーは今でも使われています。
ダイヤモンドといえば最も硬い天然の鉱物で、しかも美しい輝きが特徴です。この丈夫さと輝きが「永遠の愛のシンボル」として、婚約指輪にはダイヤモンドが一番適していると浸透していったのです。

4-3 1980年代

「給料の3カ月分」「ダイヤモンドは永遠の輝き」等のキャンペーンCMと共に、婚約指輪を贈ることが一般的になります。この頃の婚約指輪の取得率は約79%、そのうちダイヤモンドの婚約指輪は約70%と飛躍的にダイヤモンドのシェア率が上昇。日本におけるダイヤモンドの婚約指輪は、不動の地位を築いていきました。

5.日本での婚約指輪「デザインの移り変わり」

日本での歴史はまだ浅く、1960年代になってやっと少しずつ浸透してきた婚約指輪。
この頃、海外ではシンプルな一つ石の立て爪デザインが主流だったことから、日本での婚約指輪のデザインはここから始まりました。

5-1 立て爪デザイン

立て爪のデザインは、婚約指輪の主役であるダイヤモンドを高く持ち上げ爪で留めることで、四方八方から光が入り、ダイヤモンドの輝きを存分に楽しんでいただけるデザインです。これは伝統的な婚約指輪のスタイルになります。
爪の高さがあるので引っかかりやすく、普段から日常的に使用するには適していないため、結婚後は大切に箪笥の中にしまっておいたという方も少なくないでしょう。

5-2 4点留めデザイン

ボリュームのあるしっかりした4本の爪で、中央のダイヤモンドを留めたデザインです。
1番の特徴は、中央のダイヤモンドが大きく豪華に見えることです。それは、ダイヤを留めている石座の皿の部分がダイヤモンドに反射して光ることでダイヤの輝きを増幅させるからです。爪の高さはあるので、これも引っかかりやすいデザインです。

5-3 ダイヤ取り巻きデザイン

中央のダイヤモンドを囲うように小さなメレダイヤが配置された婚約指輪。中央のダイヤモンドを囲うことで輝きが一層引き立ち、華やかに見せてくれるデザインです。豪華なデザインの婚約指輪は女性の憧れですね。

5-4 サイドメレにピンクダイヤ登場

中央のダイヤモンドの両脇に天然ピンクダイヤモンドのメレ石を留めたデザインが登場したのは、画期的な出来事でした。
ただ、ピンクダイヤモンドはその頃でも非常に高価だったため、すべての男性が買えるものではなく、女性にとっては憧れの存在でした。

5-5 日本独自のデザインの誕生

日本の婚約指輪のデザインは、日本人の小さな手や細い指に似合うように工夫され、様々なデザインが生まれてきました。
ウエーブのデザインや細身のデザイン、メレダイヤが中央のダイヤモンドの両サイドにセッティングされた繊細なデザインなど、豊富な種類から選ぶことができます。中央のダイヤモンドの高さも抑えられ、現在では普段使いにも着けやすいデザイン傾向になってきました。

日本での婚約指輪「デザインの移り変わり」は、40年以上ジュエリー業界でアドバイザーを務めてきた自分自身が見てきた歴史なので、一般的な流行の変遷と比べた時に多少の違いはあるかもしれませんが、そこはご容赦ください。
たとえ時が移り変わっても、男性が女性に婚約指輪を贈る気持ちに変わりはなく、婚約指輪に憧れを抱く女性の気持ちにもいつの時代も変わりはないのです。
日本での婚約指輪の流行の移り変わりにおいて、正確に何年頃からこのデザインが……と確定することはできません。
ですが、婚約指輪が日本で普及してから、日本のクラフトマンのきめ細やかな心配りとアイデアで、多種多様なデザインが生み出されてきました。
こんなに豊富なデザインから婚約指輪を選ぶことができるのは、日本だけなのではないでしょうか。日本で婚約指輪を選べるカップルは本当に幸せですね。

6.<最新>人気の婚約指輪のデザイン傾向は?

ゼクシィの2018年度調査によると、最近の婚約指輪の人気デザインは「細身のメレ石つき婚約指輪」と「ソリティア(一つ石)の婚約指輪」の2パターンに大きく分けられると報告されています。
私個人としては、メレ石つきの婚約指輪が圧倒的に多いと予想していたので意外でした。
また、婚約指輪をなるべくたくさん身に着けたい!と思う女性が増えてきたため、「セットリング」も人気です。
ここでは、最新の人気デザインについてご紹介していきます。

6-1 細めのサイドメレつき婚約指輪

婚約指輪を贈る男性も、受け取る側の女性も、日本ではどんなデザインが人気なのか非常に興味がありますよね。
皆さん、選ぶ時に1番迷うのはこの「デザイン」。悩めるおふたりのために、今人気のデザイン傾向をご紹介していきます。

6-1-1 どうして細めがいいの?

女性が婚約指輪のデザインを選ぶ時、皆さん口をそろえて「指がキレイに見えるデザインがいい」とおっしゃいます。
細めのきゃしゃなデザインは指がとてもキレイに見えますし、着けていても気にならないため、自然と婚約指輪を着ける機会が増えるんです。主張しすぎず指になじむのが、かしこまり過ぎていなくていいようですよ。

6-1-2 サイドメレつきが人気のワケ

「派手な婚約指輪はちょっと気後れしちゃう……」という控えめな女性も、中央のダイヤモンドの両脇に1石ずつ、または2石ずつの小粒のメレ石をあしらった婚約指輪は、可憐でかわいらしく心ときめくデザインで人気です。
サイドのメレ石は色味を変更できるブランドも多く、スタンダードなホワイトダイヤモンドや、ピンクダイヤ、アイスブルーダイヤ、ピンクサファイアなど、お好みに応じてカスタマイズすることで婚約指輪にオリジナリティーが出せるのも人気要因の一つです。

6-2 ソリティア(一粒石)立て爪の婚約指輪

6-2-1 なぜ一つ石のデザインを選ぶの?

ソリティアとは、リングの中央に一つ石のダイヤモンドを留めたシンプルなデザインです。婚約指輪の王道デザインともいえます。
ソリティアで6本爪などの爪留めデザインは婚約指輪の定番の形で、ダイヤを支える台座に高さがあり四方八方から光が入るため、ダイヤモンドの輝きを存分に楽しんでいただけるのが魅力です。
シンプルなデザインなので、フォーマルにも普段のお出かけにも使用しやすく、結婚指輪との重ね着けを考えた時にも結婚指輪のデザインを選ばず合わせやすい点もいいですね。

6-2-2 ソリティアデザイン(立て爪)の問題点は?

ソリティアは、その他のデザインに比べてダイヤモンドを留める石座が高いものが多いため、洋服などに引っかからないよう注意が必要です。
ダイヤモンドを留める爪に洋服の繊維などを引っかけてしまうと、爪が曲がったり緩んだりして、ダイヤモンドが外れやすくなる場合があります。

6-3 出っ張りのないフラットなデザイン

6-3-1 どうして出っ張りのないデザインがいいの?

新たに最近人気上昇中なのが、「出っ張りのないフラットなデザインの婚約指輪」です。
せっかくもらった婚約指輪をいつも着けていられたら、贈った男性も受け取った女性も絶対に嬉しいですよね。普段から使いやすい婚約指輪として考えられた出っ張りのないデザインは、家事や着替えの時にも引っかかりにくく安心です。

6-3-2 出っ張りのないデザインとは

♦爪が引っかからないデザイン

  1. 覆輪(フクリン)留め石座、カップ型石座
    浅いカップの中にダイヤモンドを落とし込んだような留め方のデザインです。
    見た目は、ダイヤモンドの周りにフチや花びら様のふくらみが付いたものなどがあります。
  2. カテドラルセッティングのデザイン
    中央のダイヤモンドの両サイドからスロープ状にリングの厚みを薄くしていったようなデザインで、リングのボリュームもあるため、頑丈にできています。
  3. エタニティリング
    レール留めのエタニティリングは、ダイヤモンドがリングに埋め込まれるようにレールで挟まれているので、引っかかりにくくダイヤモンドも外れにくいメリットがあります。

♦ダイヤモンドの石座が低いデザイン
センターダイヤモンドを留めるシャトン(石座:ダイヤモンドを乗せる部分)や爪を極力低くし、引っかかりを少なくした婚約指輪

6-4 セットリング

6-4-1 セットリングとは?

セットリングとは、婚約指輪と結婚指輪を2本セットで着けられるようにデザインされたリングのことです。
2本がぴったりと合わさるセットリングデザインの登場は、以前は結婚後になかなか着ける機会がなかった、婚約指輪の活躍の場を増やすきっかけの1つとなりました。
日常的に結婚指輪と重ね着けできることで、普段使いできるジュエリーとして楽しむ女性が増えています。

6-4-2 セットリングの魅力は何?

1.TPOに合わせて使い分けができる
TPOに合わせて、「婚約指輪のみ」「結婚指輪のみ」「婚約指輪と結婚指輪の重ね着け」の3通りの使い方を楽しんでいただけます。
2.婚約指輪の活躍の場が増える
セットリングを選ぶことで、結婚後も婚約指輪をしまい込むことなく、着ける機会が格段に増えます。毎日は着けられなくても、お休みの日や旦那さまとの外出時には着けていきたくなること間違いなしです。気軽に着けられるのが一番のメリットですね。
3.お値打ちに購入できることも
婚約指輪と結婚指輪を別々に購入するよりも、セットリングを購入した方がお得に購入できる場合があります。ぜひ検討してみてください。

7.婚約記念品は進化している!新しい婚約指輪のカタチ

男性が女性にプロポーズをする際に贈る「婚約の証」は、さまざまな変化を遂げています。
ダイヤモンドの婚約指輪を贈るのももちろん素敵ですが、女性の好みやライフスタイル、贈る側の男性の気持ちなど、いろいろな側面からプロポーズの新しいアイテムが生まれています。どんなものがあるか、ご紹介していきますね。

7-1 エタニティリング

7-1-1 婚約指輪にエタニティリングを選ぶワケ

スタンダードな立て爪の婚約指輪の代わりに、エタニティリングを贈るスタイルです。
エタニティリングは同じサイズのメレダイヤを途切れなく並べたデザインで、ダイヤがリングに埋め込まれているため引っかかりがなく、美しい輝きを楽しめる見た目からも女性に人気があります。

7-1-2 “エタニティ”の意味は「永遠の愛」

ダイヤモンドが途切れなく並んでいるデザインが永遠を思わせることから、「永遠=eternity=エタニティリング」(エターナルリングとも呼ぶ)と呼ばれるようになったこのデザイン。エタニティリングは「永遠の愛の象徴」として、婚約記念品にもぴったりですね。
※フルエタニティ……ダイヤモンドが指輪全周に留められたデザイン
ハーフエタニティ……ダイヤモンドが指輪の表側半周に留められたデザイン

7-2 婚約ネックレス

7-2-1 婚約記念品にネックレスを選ぶワケ

女性の職場環境やライフスタイルによっては、指輪を普段身に着けられない方もいらっしゃいますよね。
そんな女性のために考えられたのが、指輪ではなく「ネックレスを贈る」という方法です。婚約指輪に使用するのと同じ大粒の美しいダイヤモンドをネックレスとして贈る男性が増えています。

7-2-2 婚約ネックレスのメリット

1.仕事中も普段も、人目を気にしないでずっと着けていられる
2.フォーマル・カジュアルなどTPOに関係なく、自由にファッションアイテムとして使用できる
3.指のサイズを気にせずに用意できる
4.普段指輪を着け慣れていない彼女でも抵抗感がない
5.状況によって外さなくてはならない指輪より紛失しづらい

7-3 ダイヤモンド・仮リングでプロポーズ

プロポーズの時に贈る「愛の証」として、ダイヤモンドのみや仮リングを選ぶ男性も増加中です。
なぜこの方法に人気が集まってきているのでしょうか?それはプロポーズ時の男性の心配事が理由のようです。
心配1. 婚約指輪のデザインが彼女の好みじゃなかったらどうしよう!
心配2. 彼女の指のサイズが分からない……
心配3. プロポーズしたい日まで時間がない!
心配4. 指輪かネックレスか迷って決められない
このような心配事を全てクリアに解決してくれるのが「ダイヤモンドのみ」や「仮リング」でのプロポーズです。
どちらの場合も、彼女にプロポーズした後に彼女が好きなデザインを選べるので、好みやサイズが分からなくても大丈夫。

せっかく男性が一生懸命選んで贈った婚約指輪を彼女に気に入ってもらえず着けてもらえなかったり、サイズが全く違っていて贈った場の雰囲気がシラケてしまったり、またプロポーズを決めていた特別な日に間に合わなかったりなど、そんなことがないように考えられたシステムなので、男性にとても好評です!
一生に一度の大事なプロポーズ、絶対に失敗したくないですよね!!

8.世界各地の婚約時の贈り物は?

世界中のどの国でも「婚約の証」としてダイヤモンドの婚約指輪を贈っているとは限りません。
それでは、世界各国ではどんな贈り物をしているのでしょうか?

8-1 <アメリカ>ダイヤモンドは質よりも大きさ重視

一般的にアメリカで選ばれる婚約指輪のダイヤモンドの大きさは、平均約1ct(カラット)と言われ、都市部になるほど大きさが求められるとされています。例えばニューヨークでは1.5~2ct(カラット)を希望されるのだそうです!
ダイヤモンドの選び方は、世界的な品質基準であるダイヤモンドの4C
・cut(輝き)
・carat(重さ/サイズ)
・color(色)
・clarity(透明度/不純物の有無)
の中で、アメリカではcarat(サイズ)を最も重視します。予算が限られている場合は、サイズ以外のグレードを下げてもサイズUPを優先させてダイヤモンドを選ぶそうです。
また、アメリカでは婚約指輪を日常的に着けるのがごく当たり前で、既婚者は結婚指輪と重ねてセットで着けている人がほとんどだそうです。婚約指輪を着けていないと不仲説が流れてしまうとか、しまわないとか……。

8-2 <ヨーロッパ>定番や流行にとらわれないスタイル

「婚約指輪をダイヤモンドで」と考える人はわりと少数で、エメラルドやアメジスト、パール、サファイアなどの指輪を贈ったり、親や祖父母世代から代々受け継がれてきた指輪を贈ったりすることも珍しくないそうです。
ヨーロッパは婚約指輪発祥の地で、2,000年以上歴史があります。伝統と重みを感じますね。ヨーロッパでの婚約指輪の相場は10万~20万円前後が主流だそうです。

8-3 <アジア>家同士のつながりを重んじる

・インド
ダイヤモンドを始め、世界有数の宝石産出国であるインドでは、婚約指輪にもいろいろな宝石を使用します。リングの素材はゴールドが好まれ、中には年収の4倍もの価格の婚約指輪を購入するケースもあるそうです。
・東南アジア
素材はゴールドが人気で、中には手の指ではなく足の指に婚約指輪を着ける地域もあるといいます。
1年を通してずっと暖かく、裸足で生活できる地域ならではの特徴かもしれませんね。
・中国
家と家との結び付きを重んじる中国では、以前は結婚を申し込む時は「新居」「車」「現金」などを贈るのが一般的だったようですが、最近では若い男性への負担が大きすぎるということで、日本と同様に婚約指輪を贈ることが増えてきているそうです。

まとめ

本記事では、「婚約指輪の流行の変遷」や「国内外の婚約指輪の歴史」などについてご紹介してきました。
日本での婚約指輪に対する考え方やデザインの変遷は、日本独自の文化や人間性が深く関わっていると感じます。

今まで約40年ジュエリーアドバイザーをしてきた私が接客中に感じてきたことは、日本人女性は婚約指輪に憧れや夢は持っているのですが、他の人より目立ちたいとは望んでいないということ。

もちろん婚約・結婚は喜ばしい事で、周りの人たちに結婚を祝福してほしいという気持ちはありますが、豪華で華美なものを望んでいる女性は少ないと感じます。
また、男性に気を遣って予算の面などもなるべく抑えられるように選ぶ女性や、中央のダイヤモンドの大きさやグレードも控えめな選び方をする女性が多い傾向があります。
「ダイヤモンドの大きさが愛の大きさ」というアメリカ女性の感覚とは大きく違いがありますね。

自分よりも周りや相手のことを思いやる、日本人特有の「大和なでしこ気質」がそうさせているのかもしれません。
そんな大和なでしこの彼女が喜んでくれるよう、本記事がプロポーズや婚約指輪選びの手助けになればと思います。