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結婚式はいつから始まった?

はじめに

「結婚式」というと皆さんは何を連想しますか?教会を背景にタキシード姿の新郎とウエディングドレスをまとった新婦の笑顔でしょうか。親より上の世代では、金屏風を前に羽織袴と文金高島田の男女が鎮座する光景かもしれませんね。

愛し合う2人が結婚を決めた時、必ずといっていいほど頭をよぎる「結婚式」ですが、そもそもいつから始まったのでしょうか。また結婚式の形はどのような変化を遂げているのでしょうか。

本記事では、結婚式の歴史とその形の移り変わりについてご紹介します。

1.結婚式の歴史

まずは結婚式のルーツをたどっていきます。結婚すると女性の名字が変わって「お嫁に行く」というイメージは今なお根強くありますが、昔はどうやら違っていたようです。
ここから詳しく見ていきましょう。

1-1.結婚式の起源は「古事記」にあり

日本の結婚式の起源は「古事記」に登場する「イザナギ(伊邪那岐命)」と「イザナミ(伊邪那美命)」にあるといわれています。

はるか昔、天上に住む神々から下界での国づくりを命じられたイザナギとイザナミは天沼矛(あめのぬぼこ)という槍で下界につながる沼をかき混ぜてできた島「おのころ島」へと降り立ち、互いが天の御柱から対面して結ばれました。
その後、2人は日本という国土を作り、たくさんの神々を誕生させたという話です。

あくまで神話として言い伝えられているものですが、2人によって日本という国が誕生したのですから、結婚式の起源も大本はイザナギとイザナミにあるといえそうですね。

1-2.奈良時代から平安時代は「婿取り」

現実的な結婚式の始まりは奈良時代にあります。
この時代は男性が女性の家に通っています。通い始めて3日目の夜に、男性を家族の一員として迎え入れる証として女性側の家族から餅が振る舞われました。
これが今でいうところの「結婚式」です。

つまり当時は男性が女性側の家に入る「婿取り」だったのですね。
この「三日夜餅」という儀式は平安時代まで続き、貴族社会の間で主流となっていきました。

1-3.鎌倉時代以降は「嫁取り」

鎌倉時代に入ると男性が女性側の家に入る「婿取り」から一転し、女性が男性側の家に入る「嫁取り」が次第に増えていきました。
この頃は平安の雅な時代から騒乱の世へと移り変わる過渡期であり、男性の権力がだんだんと強まってきた流れを受けて、主流が男系の家族へと移っていったのです。

当時は一夫一婦制ではなく何人もの妻を持つことができ、男性側の支配力の強さがうかがい知れます。

1-4.戦国時代は家と家の結びつき

室町から安土桃山の戦国時代の結婚は「家と家の結び付き」という側面が強く、武家を中心に政略結婚が行われていました。(横行しました。)

当時の武家の結婚式は、花嫁が輿に乗り、嫁入り道具を持って男性の家に向かうことから始まりました。
輿から降りると花婿と花嫁、侍女だけの部屋で盃に三度酒を注ぐ「式三献」の始まりです。まず花嫁が酒に口をつけ次に花婿が飲み干し、これを3回繰り返します。
いわゆる「三三九度」です。このしきたりは現在の結婚式でも広く行われています。

この後3日間、花嫁は白装束で過ごし、3日目に「色直し」として初めて色柄の入った着物に着替えることができます。
そしてようやく花婿の家の家族や親族とも対面する運びとなり、その家の嫁として迎え入れられたのでした。

現在披露宴で行われる「お色直し」の由来はここにあったのですね。

1-5.江戸時代には「見合いをして嫁入り」婚が主流

江戸時代の結婚は一般庶民の間でも「家と家を結ぶもの」という概念が根付き、結婚相手は親が決めるのが当たり前でした。

仲人が活躍し始めたしたのもこの頃です。仲人が見合いの席を設けて両家を引き合わせ、結婚が決まったところで結納の儀式が行われました。
当時の結納は仲人が結納品や結納返しを持って両家を行ったり来たりする形(今でいう正式結納)が基本で、両家が顔を合わせることはありませんでした。

結納が滞りなく済んだ後にいよいよ結婚式です。当時の式は日が落ちて以降、夜に行われることが主流でした。
結婚式当日は、新郎新婦それぞれの実家に親戚が集まり料理が振る舞われます。そして日が暮れる頃になってようやく花嫁が花婿の家へ出発します。
「大事な娘をそうたやすくは遣れない」ともったいを付けることで、花嫁の価値を少しでも上げたいという実家の思惑があったのだとか。

この頃は、「家と家をつなげるための結婚」以外の形として、本当に好きな人と結婚する「独立婚」もありましたが、身分の低い家でしか許されなかったようです。

1-6.明治時代に神前式が出現

明治に入り、当時の皇太子でいらっしゃった大正天皇のご結婚が皇居内で行われました。
そのご成婚を記念し、一般の人々へ向けて行われたのが日比谷大神宮(今の大東京神宮)での神前挙式です。
このことで、神社で結婚式を挙げるスタイルが一般にも注目を浴びるようになりました。
そして自宅で行われていた結婚式は次第に姿を消し、親戚や知人を集めて行う神前挙式が主流へと変わっていきました。

1-7.戦後から高度経済成長期にかけて一段と華やかに

昭和の時代でも、戦前は明治時代の流れのまま「結婚は親によって決められるものであり家と家を結ぶもの」という考え方が色濃く残っていました。

戦争が始まって以降戦後しばらくは、人々は質素な暮らしを強いられ結婚式は影を潜めます。

再び結婚式が脚光を浴びるのは高度経済成長期です。日本の景気が右肩上がりに上昇する中、結婚式は新郎新婦や両家親族のみならず、参加者も楽しむ一大イベントとして扱われるようになりました。
やがて芸能人の結婚式では、ウェディングケーキの高さや招待客の人数を競い合うような風潮が起こります。この頃は日本全体が華やかなムード包まれていました。

2.結婚式の形 「昔」と「今」

結婚式と一口にいっても種類はさまざまで、参加する人数や内容も時代によって大きく異なっています。
結婚式の形は一体どのような変化を遂げているのでしょうか。昔から今に至るまでの移り変わりをたどっていきましょう。

2-1.昔の結婚式は自宅で~ホテル挙式は戦後のこと~

かつて、結婚式は自宅で行うことが主流でした。新婦が嫁入り道具を持って新郎宅へ行き、掛け軸の掛かった床の間に両家が集まり祝宴を開きました。その時出された料理は「本膳料理」と呼ばれるもので、日本料理の原型であり最も格式の高いおもてなし料理です。
神様や人に向かって誓いを立てるというよりは、お祝い行事の1つという考え方に近いものですね。

ホテルなどの会場を使って親族以外のお客さまも呼び、結婚報告を兼ねる形の結婚式が一般庶民に定着したのは戦後のことです。
ホテルを使っての結婚式自体は明治時代からあったものの、当時はとても贅沢なものとしてごく一部の上流階級の間でのみ行われていました。

戦後は自宅での結婚式が困難になったこともあり、ホテルや結婚式場での結婚式が世間一般で注目されるようになります。それ以降は高度経済成長の波に乗って、ホテルや式場を使ったスタイルがさらに定着していきました。

2-1-1.ところで結婚指輪の交換はいつから始まった?

日本で結婚指輪を交換するようになったのは、明治時代からです。この頃、鎖国の時代が終わり文明開化とともに人々は教会式の挙式スタイルを知ることとなります。その時、目の当たりにしたのが結婚指輪の交換です。

時代の先端を行くカップルが次第に教会式の結婚式を選択するようになり、同時に結婚指輪の交換も広まっていきました。
その後、結婚指輪の広告が登場したことでますます注目を集め、大正時代には結婚するときの必須アイテムとして結婚指輪の交換が定着しました。

2-1-2.招待客が1,000人超え!豪華な芸能人の結婚式から派手婚がブームに

高度経済成長の最中、好景気も手伝って結婚式はどんどんゴージャスなものとなっていきます。その発端は昭和35年12月2日、東京の日活国際ホテルで行われた石原裕次郎と北原三枝の結婚式にあると言っていいでしょう。銀幕大スター同士の結婚式は、400名を超える招待客に高さ1メートルのウェディングケーキという豪華さで世間をあっと驚かせました。

昭和46年に橋幸夫が帝国ホテルで行った結婚式ではついに招待客が1,000人を越えました。
さらに昭和55年の三浦友和と山口百恵が東京プリンスホテルで行った結婚式では招待客が1,800人という驚異的な数字に上り、その華やかな姿に全国の女性たちがウットリしたのは記憶に新しいところです。

以降、バブルがはじける頃までは、招待客の人数やウェディングケーキの大きさ、演出の豪華さを求めるいわゆる「派手婚」がブームとなりました。

2-2.今は結婚式も多様化

バブルがはじけて以降、人々は結婚式に対してステレオタイプの形から一歩引いた目線で、自分たちにふさわしいスタイルを模索し始めます。
神前式や教会式のほか、人前式、仏前式などの挙式スタイルから、会場は専門式場なのか、ホテル、レストラン、ゲストハウス、テーマパーク、はたまた思い入れのある自分たちならではの場所にするのか等々、選択の幅は広がる一方です。

結婚式の形に正解などもちろんありません。
今はカップルの数だけ結婚式の形もあると言っていいでしょう。

さらにはLGBTへの理解も深まり、宗教や異文化交流の流れも受けて、挙式スタイルの多様化は今後ますます進むと予想されます。

まとめ

結婚式はその形が時代とともにいくら変わろうとも、親族や大切な人への報告と感謝の気持ちを伝える場であることに違いはありません。
そして結婚式は人生の最も大きな節目として、夫婦が新たに刻んでいく歴史のまさに第一歩です。

今は結婚式の形を自由に選べる本当に良い時代です。2人にとって1番自然で納得のいく形を見つけて、2人の幸せをたくさんの人にお裾分けしてください。